八ヶ岳広河原沢

2000/1/22~23
メンバー:山本裕・坂口 山本裕 記


先週、小林君と尾白川林道沿いのアイスをやりに行ったが全然凍っていなかった。そのとき地元のクライマーらしい人に今年は雪が少なくて八が岳の広河原沢はまだのぼれるといわれたので素直に行くことにする。
金夜に新宿待ち合わせで出発すると、八王子料金所でふつうの車がボンネット爆発させていたり、笹子トンネル出口で大型トラックが横転してるせいで1時間も渋滞にはまったり、甲府のPAで偶然本郷さんにあって「広河原は雪ふってて雪崩れるぞ」といわれたりなかなか波乱含みの出だしだった。
翌朝、舟山十字路から林道終点付近まで車で入る。先週の尾白川林道は日向山の手前の入山口でゲートが閉まってるし、荒川出合も蓼科山春日渓谷も林道が閉鎖でアイスにたどりつくのに何時間も歩かされるそうだし、それに比べるとここはなんとおおらかなことか道がある限り行かせてくれる。
林道終点から本谷沿いに歩き出して30分ほどで広河原沢左俣との出合で、中央稜への入山口もある。ちなみに中央稜はバリエーションルートらしく赤布の多さからみて結構ポピュラーなようだ。左俣をアイスでいってから中央稜を歩いて下降することもできるらしい。
2人とも気合いが入っていないお爺さん状態だったので右俣出合に着くまでにそこからさらに1時間以上かかってしまう。そこから本谷をさらに進むトレースはなく、みんな右俣に入っている。ちなみに右俣と本谷の間に右俣尾根というのがあってここも赤布がたくさん見える、やはり冬季のバリエーションルートらしい。
さてそこから装備をつけて、いよいよ氷の世界に突入。ナメあり、4-5Mの小滝ありで久々にバイルとアイゼンを氷に打ち付ける。しばらく行くと右手に武藤返しの滝沢があり、一段のぼった奥に15Mくらいの手強そうなツララ状の滝が見える。
右俣をさらにいくと広々としたクリスマスルンゼが見えてくる、右俣のトレースはそこまでで終わっていたので、今日はクリスマスルンゼで遊んで行くことにする。3段60Mの滝の下部は易しめで、横幅が広いのでトップロープで何本かいってみる。
上部はⅣ級からⅤ級で右の易しそうな所をいったら、氷がツララの集合体のように脆くなっているためバイルがうまく決まらないで一度落っこちる。
翌日は昨日の快晴とうって変わって厚い雲の覆われて小雪が舞っている。今日はクリスマスルンゼを上に抜けてみることにする。昨日、先行パーティーがそのようにして下ってきたらしい。今回は60M滝の上部を中心よりのラインにとる。傾斜は平均して強めだがやや凹角になっていて氷の食いっきも昨日のラインよりいいのでなんとか登れた(10時半)。
雪は本降りになってきたが予定通り沢を詰めて南陵の稜線に抜けることにする。グッチがその先のナメをあがっていくが沢筋の雪の状態が不安定で雪崩れそうなので早くも左手の枝尾根にあがる方向に進路を取る。昨日の先行のトレースもそうなっている。そこから木登りで枝尾根にあがり、あとはひたすら痩せた潅木混じりの雪稜を上へ上へとすすむ。念のためにロープを出していったが、南陵の途中にでるまで8ピッチもあった。なにか北鎌のP2尾根か中山尾根をたどっている感じ、さっきまで氷のゲレンデ感覚でバイルを振るっていたが今は雪の降りしきるなか前途をうかがいつついつの間にかアルパイン気分になっている。グッチもアルパインっぽくなってからなんか元気になってきた。この尾根はなんて名前かな、クリスマスルンゼの左だからクリスマス尾根とでもしておこうか。全然関係ないが、何年か前のクリスマスに小同心クラックに行くつもりが間違えてひとつ左のクラックに入ってしまい、そのルートをマイヨール・クリスマスルートと勝手に名付けてしまっていたっけ。
枝尾根は岩峰に出会い、右に巻いてさらに雪壁をあがると急に傾斜が無くなりぼんやり雪間に浮かぶ無名峰を左にみていくと、まもなくトレースのしっかりついた南陵にでる。やれやれ12時に稜線にでる予定が2時になってしまった。そそくさと下山にかかり30分ほどで青ナギから右俣出合に帰ってくる。
今度は雪の少ない12月に来よう、この周辺は思っていたよりアプローチが楽で、右俣も左俣も下降ルートがしっかりしているようだ。アイスだけではなく阿弥陀岳にのぽりつめるバリエーションルートも随所にみられてこれからはもっと注目していこうと思う。

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