奥鐘山西璧中央ルンゼ

1998/6/6~7
メンバー:本元・伊平   伊平記


アプローチ 週末の高速バス両夜行で奥鐘山を登るという木元プランをこ紹介。
金曜夜11時池袋発の富山行き高速バスに乗る。マイクで起こされ北陸道黒部IC出口のバス停に降ろされる。ここは何処だ?寝ぼけ眼で周りを見渡すが田圃のド真ん中。バス停は当然電鉄黒部の駅前だと考えていたので唖然。仕方なくタクシーを呼んで電鉄黒部まで行く羽目に、1800円なり。実は近くに駅があった。
黒部からは電鉄で宇奈月、トロッコ電車で棒平まで。棒平駅では改札に行かず反対側のホーム末端から線路に降りトロッコ電車の車庫になっている2本のトンネルのうち左側のトンネルに入る。200m程でトンネルを出ると黒部第三発電所の建物が左下見える。発電所の階段を少し降りると、左側に黒部川の護岸工事に使っている簡易の工事用階段があるので、これを降りて発電所下から黒部川の河原に降り立つ。
いきなり膝上の徒渉で黒部川を遡行開始、特に難しい所はないが最高腹までの徒渉を8回くらい繰り返す。天気が良かったので水に入っていてもあまり冷たさは感じなかった。1時間弱で奥鐘山西壁基部に到着、午前10時取付きはまさに水流のすぐ脇の河原の岩壁で、所々スノーブリッジ状の雪渓が残っていた。

登撃1日目
午前10時40分登攀開始。基部一番左側の急な草付を左側から回り込むように登り河原の岩壁の上に出て、草付の中の露岩帯でロープを着ける。
1P 不安定な革付から右側の顕著な凹角を登る。
2P~5P 上部ハング帯にはっきりとわかる「くさびの切れ目」目指して右上する。Ⅳ扱が入るがランナービンはほとんどない。
6P 「くさびの切れ目」超えⅤ級、木元さんリードで行く。ハング下のバンドまで登り切れ目まで右トラバースするが微妙なバランスとなる。さすがにボルトが何本も打ってある。切れ目は5mほどの被り気味の凹角、抜け口に泥が詰まっていて左右ともホールドない丸い岩、ピンは切れ目下にアングルが1本だけ、木元さんが抜け口の上に上半身を出して僅かなリスにハーケンを打ち足したが伊平が引っ張ると簡単に抜けてしまった。
7P Ⅳ級の白い花崗岩のきれいなフェース40mでランナーは2本だけ。
8P V角の人工0古いノーーケン、前傾しているので結構腕に来る。
9P フェースのクラック沿いに人工、ボルト、ハーケン4本程で振り子トラバースとなるが支点のハーケンは浅打でとても振り子などする気が起きない、テンショントラバースで左の凹角に入る。この凹角は垂直で途中の潅木が邪魔で苦労する、出口では動くキヤメロットに乗って突破。このピッチから伊平の手には負えず木元さんにオールリードで行ってもらう。
10Pフェースを直上、小テラスを越してビレー点。午後6時となってしまい10m程下降して小テラスでツエルトをかぶり腰掛けビバーク。当初の予定では終了点から上部に抜けてビバークだったが甘い考えでした。

登撃2日目 天気は相変わらず晴天、午前4時20分登攀開始。
11P 花崗岩のフエースを直上、上部のルンゼ状が迫ってくる。
12P 草付きフェースを右から回り込み、上部ルンゼの入り口の垂直の凹角を人工。ボルト連打で楽なÅ1だが、抜け口から左に下りトラバースがいやらしい。
13P 凹角の真ん中のクラック沿いにⅤ級のピッチ。フリーにトライするも途中キャメロットの人工混じりに。一旦バンドに出てさらに被った岩の脇を人工で登り、不安定な草付の細いバンドを左上すると屋根付きバンドとなり終了点。午前7時。時間も早かったので上部に抜けようと木元さん決意する。
14P、15P
終了点上の苔だらけの垂璧をキヤメロットと潅木の枝こタイオフしたシュリンゲにアブミをかけての人工の連続で突破して上部ルンゼに入る。上部ルンゼは草付の小フェースと垂直に近い潅木帯を人工を交えながら強引に登って行くが1P進むのに1時間もかかり、15P終了時は午前9時。これではとても山頂回りでは今日中に降りられないと判断し下降することにする。

くさびの切れ目まで同ルートを下降し、その下は一致和合のルートを合計12ピッチの懸垂で黒部川の河原に降り立つ。午後2時、懸垂に5時間もかかった。
帰り またまた黒部川を徒渉の繰り返しで下り40分程で発電所に到着。濡れた衣類を着替えたり靴を干しながら1時間ほど酒を飲んでくつろぐ。
午後5時のトロッコに乗り宇奈月へ。あの田圃の真ん中の黒部ICに近い駅を聞くと黒部駅より3駅手前の「舌山」で普通列車しか止まらない。午後7時半頃の電鉄に乗り舌山駅で降りる。駅から田園の向こうに見える北陸道の黒部ICの明かりを目指して真っ暗な田舎道を30分歩きバス停に到着。バス停で2時間宴会後午後11時のバスに乗り池袋に午前5時到着、お疲れ様。これから会社だ!

感想
木元:久々のビッククライム。ランナーが少ない。難しさが連続している。少しなめていたかな~疲れた。
伊平:力不足を痛感した。総合力を要求される~いい経験でした。

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