瑞牆山十一面正面壁 ベルジュエール~春一番

1997/9/28
メンバー:村上・田島(寛)   記


7:00過ぎにグリーンロッジ先のベースを出発、天気は上々、林道から直接北沢には入らず、これから登る十一面岩を眺めながら畑のなかの道を詰め、どんずまりから踏み跡を林のなかへ入る。暫くで北沢にぶつかるので沢に沿って歩き、途中から沢に降りる。ナメは左岸が歩きやすい。夏に訪れたときには三ツ俣の中央を水流沿いに行ったが、今回は左のガレ沢を登り、右の林の踏み跡に入った。こちらの方が多少楽な気がする。岩小屋の前を通り末瑞璧へ、此処から再びガレを登りケルンに導かれ左の林の中へ入ると岩壁基部である。取付きは洞窟より10m程手前のカンテで別に木が一本立っている。ベルジュエールは大フレークを除き偶数ピッチが難しいので村上さんにお願いし、奇数ピッチを田島がリード。ロープは10.5mmのシングル、ザックは一つにしてセカンドが背負うことにした。

1P  まずはカンテを登るが、出だしは側の木を使うと楽、最初のプロテクションも木から取った。10m強登り小ハングを右上気味に人工で超えスラブを直上。ビンは近いが1ポイントフリーが入る。

2P  ビレー点から右上へ登り、ハング下を左へ3m程左へトラバースして回り込みコーナーへ。トラバースはホールド、スタンスとも細かく思わずA O、コーナーも1ポイントナッツの人工となってしっまった。コーナーを抜けるとスラブで少し登ってビレー点。

3P フレークにカムでランニングを取り直上し、木登りから凹状のクラックを右上。泥が詰まっていてホールドにならず、右のスラブにホールドを求める、ランニングはブッシュで。次第に傾斜が増し出口は左の壁から横たわる木の上に出た。

4P 見事なクラック。下は広めで上に行く程細くなる。村上さんはフリーでリードされたが、田島は途中で腕がパンプしてしまい、フレンズにアブミを掛けレストしてしまう。
漸く白熊のコルに看き、小休止しながら大フレークを観案する。非常にカッコいいのだ。しがオフウィズスの部分でランアウトしてしまい、その上のフレークも下部は甘そう。相談の結果ベルジュエール完登は来年の課題とし、春一番のボルトラダーを登ることにする。

5P 凹角をフリーで登り、小ハングから上のフェースはボルトラダーの人工、ピンも遠くなく快適なピッチ。

6P 右側のカンテを回り込み凹角を登る。回り込むところはランニングがとれず非常に微妙。

7P
此処はいま一つルートが判らずテラス沿いに左へトラバ-スしてみる。どうやら他のルートに入ってしまったらしい。チムニーに入り、かぶったクラックをカムの人工で抜けるとベルジュエールのくの字形フレーク下のビレー点に出た。
8P フレークを登りはじめたがなかなか厳しく、右のビナクルへ移りそのまま右へトラバース。

9P ボルトがあったのでアブミで上がるが、2本目のボルトは遠く左上に見える。仕方無くポッケットにエイリアンを入れランニングとし、左へトラバース。どうにかボルトにアブミを掛けるが次のボルトは全く見当たらない。上は傾斜も緩くなっているので仕方無
くフリーで登るが、アブミの回収に一苦労。ボルトに片足でしゃがみこみどうにか回収する。そこからはスラブなのだが、ランニングが取れずヒヤヒヤものだった。何とかバンドに辿り着き右上してテラスへ。

10P ドーム中央稜の3P目のようなピッチで、大きな岩を縫うようにして登り、右上のテラスへ。

11P フェースからハング下を右ヘトラバース。頭を押さえられ窮屈な体勢を強いられる。またこの辺りは岩が風化して脆くなっているので注意が必要。

12P かぶったコーナークラックをカムの人工で抜け登攀終了。

右奥へ少しクライムダウンし、1回の懸垂で右のコルへ、後はルンゼを歩いて降りられるが1カ所安全を期し懸垂した。二人とも時計を持っていなかったため登攀時間ははっきりしないが、7時間以上かかってしっまた。取付きに戻り夕闇に追われるように下山、ベースにたどり普く頃には星空となっていた。
十面岩は、穂高や谷川の様なアルパイン的な雰囲気や物凄い高度感、威圧感といったものは感じられない。しかしながらフリクションの効く花崗岩はしっかりしており、不安定な草付き等も無い。ルートはスラブ、クラック、フェース、チムニーと変化に富み、ナ
チュラルプロテクションも多用するなど登攀内答は中身の濃い充実したものとなろう。またアプローチや人が少ないといった点からも、オススメのエリアである。

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