1996/10/5
メンバー:三浦・山本(武)・山下・田島寛 田島寛 記
午前6時10分ヌク沢に向け西沢渓谷入り口の駐車場を出発。メンバーは三浦さん、山本(武)さん、山下さん、僕の4人。皆沢登りは今回で2度目という初心者である。
車止めのゲートをくぐり西沢渓谷への林道を20分徒歩くとヌク沢橋に到着。橋の手前を右にはいる踏み跡からヌク沢に降り、いよいよ遡行開始。川原の雰囲気から、両側が切り立った谷のそれに変わるとナメや小さなナメ滝が続々と現れ、沢登りらしく
なってくる。2段6mの滝は「左の凹角を登る」とあるが、左の凹角に取り付くには腰まで水につかりそうなので右側を壁にそって登る。ヌク沢橋から1時間半程度で近丸新道横断地点。
ここまでは順調に来ることができた。横断地点からはやや荒れた感じとなるがそれ程苦労なく進むと堰堤が見えてくる。これは右から巻くのだが途中踏み跡がわかりづらく一部ヤブこぎとなってしまった。沢に戻りしばらく行くと、なんとまた堰堤。遡行図には一つしかなかったのだが、、、。それもそのはず「平成七年」とあり、去年作られたばかりなのだ。しかたなく右の木の階投を登り、高巻き、再び沢を進むとたき火の臭いと人の声がしてきた。見るとビックリ、なんとなんと完成間近の堰堤。指導標に従い左の山道に上ると、工事中の堰堤のすぐ向こうにはナメ滝が流れている。
またいくつかのナメや小滝が消されてしまうのである。毎年堰堤を作っていたら沢がなくなってしまうと皆で腹をたてて歩くうちに左から沢が入り込む二俣に行き着いた。
ここが二俣なら左俣に入るのだが、どう見ても右俣の方が行けそうな気がする。二俣を過ぎてもいい時間であるし、遡行図を見ても二俣の手前に左からの枝沢は無い。とにかく行ってみようということになり、遡行図と地図、コンパスを見ながら進むとどうやら数段に分かれた滝の上に左からルンゼが入り込み、その上の滝は遡行図の二条6mの滝だといっことがわかった。先程の二俣はすでに奥の二俣で、工事中の堰堤の手前が二俣だったようだ。それを証明するかのように写真にでていた大滝が現れてきた。
明るく開けた大滝は紅葉のはじまりかけた木々と青い空に色どられなんともすばらしい。さっそく記念撮影。ところがカメラを水の中に落としてしまい残念ながら本日のメーンエベントの写真はあきらめる。
大滝は3段26mとされており、まずは下投に右側から取り付き、一部水流の中を登る。日も当たりロケーションも良いので下段の途中で大休止。沢の水でコーヒーを入れ、昼食を済ます。2段目は先行する三浦さんは左の水流を、続く僕らは中央の水流をいずれもシャワークライム。水は冷たいがホールドは多く、ノーザイルで順調に登る。
すると水流の右側に出た山本さんが何やら叫んでおり、見ると水流の中央を登っていた三浦さんにアクシデントがあったらしい。シュリンゲを持ち水流の右側から三浦さんのいる中央付近に水流をトラバース。三浦さんにシェリンゲの一端をもってもらいそのまま左側に抜け三浦さんに自力できてもらう。どうやら左肩を痛めてしまった様だ。
左側のブッシュを自力でテラスまで登ってもらいザイルを出す。上段は左側の草付きをザイルを引いて登り、上から三浦さんをビレーする。山下さんが三浦さんのザックをかついで登ってくるのを待ち3人で荷物を分けて再び登る。
大滝の上は荒れた感じとなり、左右にガレ場を見ながら進み、水流が消えるあたりで左側の斜面の踏み跡にはいる。踏み跡はすぐ消えてしまったが、とにかく尾根を目指して進むと、どうにか縦走路に出られた。縦走路を左に登り20分強で近丸丸新道入口。ここからはバス停まで2時間半となっていたがヌク沢の横断地点は遠く非常につらい下りであった。一刻も早く下山しなければならないのだが僕がブレーキとなってしまい皆に遅れてしまう。ヌク沢を渡ってからは道も良くなり45分程度で林道に下る。午後5時前にようやく駐車場にたどり着き、そのまま塩山市内の病院に向かった。
今回僕にとっては体力的にしんどいものでしたが、沢自体は非常に美しく、技術的な困難さはないものの、十分に沢歩きを楽しめる沢ではないかと思いました。ただせっかくの美しい沢にどんどん堰堤ができてしまうのはとても残念な事です。