谷川岳での搬出訓練報告

1994/11/19


報告者:本郷
日時:11月19白 く土)
場所:谷川岳登山指導センター、蛙岩、一の倉沢
参加:松元、桜井、本郷、木元、遠藤、松岡、村上、飯島、中丸、杉浦

(谷川岳登山指導センターにて)

1.ザイル結束
・事故者への結束
・変形エイトペント
・スクェアフイッシャーマン
・ガルグーヒッチ
2.ザイル担架
・ザイルバスケット
・ザイルストレッチャー
・ヒューマンチェーン
3.仮固定
4.三角巾での包帯法

(蛙岩にて)

1.仮固定
(エイト環にて、ハーネスからザイルをリターンする形で行うとスムーズな仮固定が可能であることを体験)
2.プルダウン
・救助者単独でのプルダウン
・救助者複数でのプルダウン
3.プルアップ
・3分の1
・6分の1

(一の倉沢にて)

搬出シュミレーション
事故者:松元(一の倉沢アプローチで転落、右膝骨折)
救助隊:遠藤(リーダー)、桜井、木元、松岡、村上、飯島、中丸、杉浦

一の倉沢での会山行中、アプローチである一の沢とテールリッジの中間点の岩場で松元氏が転落し、右膝骨折。
その場で、緊急の救助隊を編成する。右膝を固定後、岩場を1ピッチ引き上げ、引き下ろし、背負い搬送する。

(反省会)

.ザイル1本でのプルアップは、切断を考えると恐ろしい。バックアップのザイルが必要では?(松元)
実際の救助では、9mmザイル1本で行うことはあまりない。11mmを使用するのが一番良い。(本郷)

・背負い搬送の場合は、ギヤを体からすべてはずさないと事故者、救助者共に痛いのではずした方が良い。(本郷)

・引き上げ、引き下ろしに神経が集中し、事故者についている人が、いないのはまずい。(松元)

・事故設定を勘違いしていた。岩場で一人しか立てない状況だと思った。(遠藤)
馴れないうちは、どうしてもザイルワークに気持ちが行きがちだが、事故者の状況を一番に考えるべきで、場合によってはリーダーが事故者に付き添い、無線で各隊員に指示を与えても良い。 (本郷)

・引き上げシステムを作るのに、関係ないザイルを張ってしまった。やはり、支点の作成などは複数の人でやるより自分一人でやらないと、混乱してしまう。(中丸)
慣れている人間が、一人でやる方が確実で、早い。(本郷)

・今回、リーダーをやったが各隊員はリーダーの指示には疑問があっても指示通り、動かなければスムーズにいかない。(遠藤)

・背負い搬送送の場合、介護者が前後からロープで確保し、救助者の指示で張ったり、ゆるめたりしたほうが良い。(本郷)

・背負い搬送のザイルが救助者の首に掛かり、痛そうだった。(松元)
背負うザイルの良さの問題で、結び目が事故者の肛門のあたりに来るような長さで作れば、そのようなことはない。(本郷)

・危険箇所にフイックスロープを張っていたのは、良かった。(本郷〉

全体を通しての感想
今回、谷川岳で搬出訓練を行うことで色々な意見が出たが、結果的にみると身近に事故が起きる可能性のある岩場ということで参加者の繋張感も違っていたと思う。
今まで、3~4回ゲレンデでの搬出訓錬を行って来た為、単発の技術はそれぞれ知っていて、やれるのだが、実際の救助の流れの中で人間を運ぷということがぎこちなく感じた。
搬出シュミレーションでは、岩場のアップダウン含め100m程、事故者を搬送するのに、2時間もかかってしまった。(予想では、1時間位か)手際よく事故者を助けることが、いかに難しいかが経験できたと思う。
実際の事故では、確実に早く、医療機関へ運ぶことが事故者の生死の分かれ目であるが、こればかりは慣れるしかない。
しかし、慣れる械会は頻繁にあるはずがないので、搬出訓練を行っていく必要がある。
今回、全員が非常に熱心に訓練していたのを見て、何度か練習していけばすぐに会で事故が起こってもきちんと救助ができるようになるはずだと確信した。

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