屏風岩・東壁・緑ルート

1994/8/13
メンバー:下野・村上・中丸  村上 記


8月12日、横尾で充分休養を取って、夕方1ルンゼのT4尾根の取付の対岸に、昨年下野さんが見つけた場所にテントを張る。東壁全体が見渡せるベストロケーションである。
13日、3時起き。空には星がまばたき、流れ星が流れる中、4時15分頃テントを出る。
T4尾根取付にはすでに先客が来ている。女性2人パーティで、中丸さんの知り合いであった。彼女達をかわして、中丸さんのリードで先に取付く。
5時45分、T4よりの草付バンドを下野さんリード。
1ピッチ目:鵬翔と同ルートで、先行パーティがいるため少々待たされる。
2~3ピッチ目:ビレイ点より2~3m下がり、ジェードルの下に出る。これからが本格的なクライミングになる。
ボルトラダーのスラブをアブミのかけかえで登る。AOでも行ける所もあり、核心へ向けてのウォーミングアップには最適なピッチである。このあたりから陽も高くなり、暑くなってきた。
2段テラスよりカンテを回り込むように大テラスまで20m位のトラパース。バンド状になっており、横歩きで行ける。
4ピッチ目:大テラスより村上リード。ルート図でははっきりしている鵬翔と緑の違いが分からずに手間どる。緑は大テラスより2段テラスに3~4m戻ると1本目のボルトがある。左上して20m位で、この先ザイルの流れが悪くなりそうなのでピッチを切る。
5ピッチ目:5m程直上し、ビレイヤーの頭上を左に横切るのだが、前傾壁にぶら下がりながらかけるピンが2~3本遠く感じられる。体を構に振りながらアブミをかけかえる。下野さん、中丸さんとも、そんなに難しくなかったという。
6ピッチ目:半畳程のテラスになっているビレイ点で、下野さんが大キジをもよおし、我慢できずなんとか処理したらしい。これから2ピッチが核心らしいが、A2というには程遠い感じ!!一応前傾壁が続くが、ハングらしいハングもなく、青白ハングの基部にてビレイ。
7ピッチ目:青白ハングの1m位の張り出しの中間部に、特大のハーケンが2本しっかり打ち込まれており、安心して乗っ越す。時はすでに12時項、空には雲もなく、強い日差しが照りつけ、咽はカラカラ、唇はカサカサ、一刻も早く日陰に入りたい!
青白ハングの上部を左上するのだが一坪テラスらしきものが見あたらない。下野さんより、「左上だよー。」という注意がとんできた。しかしその上がない。
しかたなくディレッティシマルートと交差すると、7~8m位行ったところにラインがあり、それに誘われて直上してビレイ。
風が出てきて声が届かなくなり、2人がなかなか登ってこない。その時、鵬翔を登っているパーティより、「そこはディレッティシマだよ」という声が掛かる。やはり当人達も、以前同じように間違ってしまったらしい。そのパーティの2人はYCCの人達だった。
一応、緑の核心といわれる所は通過できたので、ディレッティシマのラインを中丸さんリードで登ることにする。
8ピッチ目:草付のフェースを人工とフリーのミックス。
9ピッチ目:潅木のビレイ点よりプッシュをかわしながらの登りとなる。暑かった陽も陰りだし、木陰には涼風が吹いて人心地がつく。
9ピッチ目の終了点より踏跡を歩いて約2~3分、雲稜などの終了点(約3畳)程の広場について、2時20分終了。
小休止をとり、雲稜ルートを下降、T4尾根基部4時30分。
T4尾根より尾原さんと水野さんが確認できる。コールを交わすと、16Lの水と、ビールを荷上げをしてくれたとのこと。明日に備えての水の荷上げを考えて、うんざりしていたところなのでたいへん嬉しかった。ビールも冷やしてあるというので又々尾原さんに感謝。
緑ルートはこれといって難しくはないが、体力があればそれだけ楽に行けるのではないかと思う。

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