谷川岳-ノ倉沢中央稜

1992/6/14
メンバー:木元・下野・山本・佐藤(寿)  佐藤(寿) 記


13日の夜7時過ぎには新宿を出たのだが、都内でルートファインデイングに失敗し、出合に着いたのは12時に近い。よって、アルコールは控えめにして朝を迎える。
初めて一ノ倉の壁を見て、こういうものかと思った。感激もしないけど、落胆もない。新人には事前にあまり吹きこまない方が良いのかもしれません。
5時半に出合を出る。登りやすい雪渓からテールリッジを詰め、中央稜の取り付きへ。ここで、南稜は混んでいるようだし、この中には中央稜を登った者はいないということで、中央稜に決まる。
登攀開始6時40分。木元・佐藤、下野・山本と組み、この順で行く。1ピッチめは木元さんのリード。セカンドの佐藤が足場を崩し、山本さんのそばに岩を落とす。下にいる人たちの視線が痛い。2ピッチめ、初めての本番でのリードだと感動するのも忘れ、土っばいところを進む。落石を起こさないようにと気をつけながら。
4ピッチめの終了の手前で行き詰まる。前がつかえていて、ビレイ点に上がれないのだ。向こう側の第3スラブの様子(遭難者がいた)。などうかがいつつ待つ。このあたりから、いくらか岩もしっかりしてきたようだ。
8ピッチめの終了点で、下野さんと山本さんを待つ。時折降っていた雨も収まったようで、曇り空だが気分はよい。遭難者も自力で下降しているようでよかった。
この後、再びボロくなったところを数ピッチ進み、衝立の頭に11時半到着。完登を祝して握手と記念撮影。
下降は、中央稜は後続パーティがいるので、北稜を行くことにする。5ピッチの懸垂を終え、フラットソールを脱いだときにはほっとした。ゲレンデとは違い、ずっと履き続けていなければならないのはつらい。
出合には2時半ごろ戻った。カメラを手にした人たちの好奇の眼を浴びながら、俺もクライマーの端くれかなどと感じる。沢の冷たい水で顔を洗う。気分がよい。

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