衝立岩雲稜第2ルート

1991/5/18
メンバー:桜井・立木・鈴木(直)  鈴木(直) 記


天候よし。本来、立木氏と組んで登るはずの尾原氏が前日の待ち合わせに間に合わず、メンバーは4名から3名となる。
我々3名はロープウェー乗り場の駐車場に泊まり、翌朝、出会いで南稜隊と合流する。
さて、6:00出合い出発。テールリッジをつめて衝立へのトラバース地点についたところで、2パーティが登り支度をしている。YCC(2名)がA字ハング、秀峰(2名)が雲1とのこと。
それぞれ別のルートでよかったですね、と話してそれぞれ取り付くが、A字ハング隊がコースをどんどん右よりにずれてきて、なんのことはない、2人用テラスは3パーティーが集結してしまう。このおかげで1時間以上のロス。9時過ぎに取り付く。
さて、オーダーは、トップ立木氏。桜井氏は以前に大ハングまでこしているので、リードはその後のピッチでよいとのことで、立木氏と鈴木でじやんけんしてその他のリードを決める。オーダーのじゃんけんではなぜか強い鈴木は大ハングを行かせてもらうことにする。
1ピッチ目は雲1と同じく左の凹角にルートを取り、2人用テラスヘ。頭上にいる雲1隊は早速落石を落し始め、なんでもでっかい岩を抱え込んでいて落とすの落とさないのという話をリードしている立木氏から聞き、下にいて状況のわからぬ桜井氏と鈴木はびくびくもんである。
2ピッチ目続けて立木氏リード。右上するルート。人工とフリーを混ぜて登るが、ハーケンの効きは悪そうである。10mくらい伸ばしたところで、あっ!という声とともに立木氏が落ちる。
5~8mくらいか。最も上のボルトが効いていたからよかったが、落ちながら各所で体をぶつけた模様で、手のひらをばっさり切った他、足の甲を打撲した模様。だが、登るのにはとりあえず、支障はない模様で、そのまま登り返す。あぶみをかけたハーケンが抜けたとのこと。
岩にポタポタと付いた赤い点がセカンドの道しるべになるくらいで、心配であったが、登っているうちに出血は止まった模様。3ピッチ目手前のビレイポイントは狭くあぶみに乗って2名がやっとである。
次は鈴木が行く。最初はボルトラダーで先ほどと比べればピンも信用できそう。15mくらい延ばしたところでハングにとりかかる。ハングのひとつひとつはそれほど大きくはなく、足は壁につくがとにかくピンが信用できず、ひとつひとつとりあえず体重をかけてみてから乗り移る。ところどころシュリンゲがかかっているのでそれをつかんで伸びあがる。
連続して現われる、ハングに体力的、精神的に疲れてくる。やっとハングを越し、ビレイ点たどりつくと、ちょうと左隣に秀峰のクライマーがトップのビレイをしていて、雲1も以前来たときよりピンの状態が悪いと話していた。unni4ピッチ目を続けて鈴木がリード。右上した後、凹角を登る人工のルートであるが、ピンの状態が悪い。ボルトは軒並リングがとび代わりにご親切にも3mmシュリンゲが通されているが、これに乗るには勇気がいる。凹角に入ると今度はぐらぐらハーケンばかりでフリーを何度か強いられる。
この終了点は安定したテラスで落ち着ける。右には北稜へ簡単に抜けられそうな草付きのエスケープルートがあり、我々を誘惑している。
しかしながら、真上にのしかかる帯状ハングの捨てがたく、桜井氏リードで先に進む。桜井氏が頭をハングに押さえつけられるような態勢であぶみを1段1段登っていく。強引にのっこす瞬間、ホールドの岩がガバッとはがれ、ヒャッとさせられる場面も。
ハングを越えると草付きの逆層のフェースが現れる。フリーだ。次のピッチも草付きのフリー。いずれにせよ帯状ハングより上はあまり登られていない模様である。ここで終了とする。(その時はエスケープしたつもりであったが、後で考えてみると3ピッチのところを2ピッチで抜けており、完登していることがわかる。リードする人は気持ちよくないかもしれないけど、おもしろいので最後まで行ってみて下さい。)
時刻は16:00。要した時間は7時間。ここの支点から懸垂下降で2回、北稜に合流して、更に懸垂。略奪点から先は雪渓となり、潅木につかまりながら降りる。衝立前沢を下降して出会いにたどりつく。18:00。

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