一ノ倉沢 中央カンテ

1991/5/9
メンバー:本郷・尾原・木元  木元 記


5月19日 (快晴)、中央カンテを登るために出合のテントを早朝に出発した。中央稜取り付きで登攀の用意をし、本郷さんのリードで中央カンテに取り付く。
1ピッチ目は少しルートを間違ったものの難なく登る。2ピッチ目も本郷さんはスルスルと登り、ビレイを解除して私が登りはじめる。10m程登った所で、私は何も考えずに大きなガバを両手でつかんでグイッと体重をかけた。ところがそれは30Lのザック位の大きさの浮き石で、3~4m下を登ってきている尾原さんの肩をかすって落ちていった。私の体重も尾原さんの位置まですべり落ちた。尾原さんにも私にも怪我はなく、気を取りなおして再び登りだす。以後、浮石には神経質になった。
凹状岩壁ルートと離れて、中央カンテの部分からは尾原さんがリードしをして進む。
変形チムニールートとの合流点では西川さんと高岡君が我々を待っていて、そこからは一緒に登ることになった。
合流点からは普通右のチムニーを登るらしいが、他のパーティーが取り付いてしまったため、我々は左の正面ルンゼを登る。難しくはないが草付と浮石が多く、神経を使うピッチだった。
次からがいよいよ核心部だが、まず高岡君がリードする。しかし、そこは右に進まなければならないところだが、彼は正面ルンゼ通しに真上に登ってしまった。難しいらしくなかなかザイルがのびない。いいかけん待ちくたぴれた頃、「落石がいきますから気をつけてください」という高岡君の叫びと共に、もの凄くでかい石が、我々の背中をかすめて落ちていった。その石は下の方から「バカヤロー」という声が聞こえてくる。よほど怖かったのだろう。
そんな落石が、2、3回も続き、このままでは危険なので、尾原さんが正規のルートから登って様子をみる事になった。
まず、凹角の手前のテラスまでいって、本郷さんと私もそこまで登る。するとすぐ上の四畳半テラスにひょっこりと高岡君が現われた。自力で登り切ったのだ。彼が無事でほっとする。
その後は西川さんも高岡君が登った正面ルンゼを登り、正規ルートを登った我々と再び合流した。それからは問題なく終了点まで登ることが出来た。
私にとってはこの中央カンテが本番2本目ということになるのだが、ザイルワークや浮き石への注意、ルートファインディングなど今回の方がいろいろかんがえさせられる事が多かった。これを反省材料として、次回からはもっと確実に登るようにしたいと思う。

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