サデの大岩 左フェース

1991/8/15
メンバー:山口・立木・高岡・桜井 立木 記


予想以上に大武川のアプローチに時間がかかってしまった。予想では今日のうちに左フェースを登ってしまうつもりでいたのだが!!ガスの切れ間に見える大岩、いつもそうであるように、新しい壁との出合いは緊張する。
しかし本当に今シーズンはついてない。天気のローテーションが本当に悪い。週末には必ずとよいほど雨にたたられるのだ。そんな沈んだ気持ちをはねのけるように、前日フィックスしておいたロープを桜井、高岡ペアが登り出す。
1ピッチ目からうんざりさせられる。と言うのは確かにボルト連打であるが、初登者は高下駄をはいて打ったのではないかと思うくらい遠いのだ。最上段ではとどかず、リストループかボルトの上に立ってのかけかえとなる。我々は5日分の食料、装備を持っているので辛いところであった。40mいっぱいで小ハング下につき、ボルトが2本ありピッチを切る。2ピッチ目、頭上の1m位のハングを右へ周り込むようにして人工で超える。sade先行パーティーの高岡がリードしている間、私と山口さんはビレイポイント下で各自ボルト1本にぶらさがったまま待つこととする。上に居る桜井さんの所からは高岡の様子は見えないようだが一段下の私からは非常によく見える。かなり苦労している様だ。ピンが遠いのと所々入るフリーが悪いらしく中々進まない。途中ヌンチャクシュリンゲは降ってくるは、アブミまで落ちてくるは、あげくのはてに 「あっ」という声で上を見れば、高岡が変な恰好でぶら下がっている。
アブミをかけたピトンが抜けて運良く下のアブミに脚が引っかかって止まったらしい。所要2時間かかって2P目を終了した。しかし私もこのピッチかなり悪く感じた。決してやさしくはない。特に所々のフリーが悪い。この上もアブミビレイとなる。
2m程のハング下できる桜井氏が登り、続いて高岡が登りだすが2P目でカを出し切ってしまったのか、又荷もかなり重いので、なかなかハングを乗り越せずに苦労している。一応A2のハングではある。もしかしたらこれはダメか思うころ、やっとの思いでハングを超して行った。疲れている様なので少し距離をあけて後続するがすぐ追いついてしまうので私は途中のテラスで切り、山口さんを迎える事にする。
つるべ式に山口さんが登り、私がフォローして着いたテラスで直上部分としては終わりになる。ルート図では35m、30mの2ピッチのはずだか、A2ハングから1ピッチで着いてしまったわけだ。さていよいよ長い長いトラバースが始まる。
まず1ピッチ2級のトラバースをして15mほどの凹角下へ、凹角中心から右ヘトラバースして右上の立木へ登って、そこが洞穴のあるテラス、2、3人は横になれる。
そこからまだ5ピッチほど右稜まではある。疲れているし、好い加減うんざりする。その上、ガイドブックに書いてある程やさしくは無い。トラバースとしては3~4級の連続でピンもない為スリップした時を思うと実に怖い。もうすぐ暗くなると言う頃右綾に出る。
右綾を2ピッチ登り、ゆっくり4人が横になれる所があり今夜のビバーグサイトとする。すぐ横が東壁だ。サデの頭ももう直ぐだ。
アプローチで一日損して、本来今日中に東壁を抜けている筈なのだが、明日はサデの頭より南山綾を抜けて甲斐駒へ抜けることとする。

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