夏合宿報告 丸山東壁~剣岳

1991/8/10~16
メンバー:尾原・長谷川・三好・本郷  本郷 記


8月10日の深夜、アルプス号に乗り、新宿を後にする。電車の中でビ-ルを飲みながら、これからの合宿に胸をはずませる。電車は思ったよりすいていて4人共楽に座ることができた。
8月11日の早朝、信濃大町に到着し、扇沢までタクシーをとばす。朝一番のトロリーバスに乗り、黒部ダムヘ向かう。トロリーバスの中は登山者や観光客、沢屋などでいっぱいである。クライマーは案外少なくひと安心する。
黒部ダムに到着し、観光客と別れ、内蔵助谷を目指す。黒部の秘境は先程までの喧噪とは、うって変わり、ものさびしさを感じる。内蔵助出合へ9時に到着し、テントを張り、本日の行動を考える。明日の緑ルートが長いので、足ならしとして比較的やさしそうで、短い右岩稜を登ることにする。
2ルンゼを詰めて、右岩稜の取付きに到着、丸山東壁を見上げると、やはり屏風より大きい感じがする。
壁には、緑ルートに一パーティーいるだけで、たいへん静かであった。
尾原、長谷川と本郷、三好のオーダーで登ることにする。
一ピッチ目を長谷川と三好のリード。見た目よりずっと難しい。(私は5級位に感じた)本来、4級のフリーなのだが、ホールドが細かく、微妙なバランスを強いられる。
2ピッチ目は、4級A1であるが、所々かぷっていて、ここも難しい。尾原と本郷のリードで登る。
3ピッチ目と4ピッチ目は、草付きで、いやらしい登りである。
5ピッチ目以降は、2級のプッシュ登りで、実質的なルートは、終っているので、時間は早いが同下降とする。(それ以上登ると下降しずらいため)
取付に戻って、緑ルートを見ると、先程のパーティーがほとんど変わらない位置にいる。明日我々が登る予定なので途中でビバークなどされたら困るなあと思いながら2ルンゼを下る。

8月12日、朝3時に起床。
今日も2ルンゼを詰めて、緑ルートヘ向かう。(1ルンゼより快適である。)少々のヤブこぎをして、取り付き到着、5時30分。
今日は、本郷、三好パーティーが先行し、尾原、長谷川パーティーが後続する。どうやら昨日のパーティーはいないようである。
1ピッチ目は、本郷、尾原リードで、以降つるべにて登る。緑ルート部は単純なアブミのかけかえで高度をかせぐ。途中、三日月ハングが、1m程はり出しているが、ボルトがべた打ちで、三好、長谷川のリードで、簡単に超える。上部岩壁の大ハングは、5mのはり出しで、左上しながら超える。ここに昨日のパーティーのアブミが2つ残置してあった。本郷、尾原のリード。
その後、ブッシュ帯を登った所で、京都岳人クラブ(鷲同人ルート)のパーティーと会う。終了点は、ハングを超えた所だと教えてもらい、同下降する。
45mの空中懸垂で、しかも丸山東壁の一番上なので、非常に怖かった。取り付きに戻り、4人で握手をかわし、一ルンゼから帰る。
その夜は、2時まで大宴会し、持参した酒を全部飲み干す。

8月13日は、ハシゴ段乗超しを超え、真砂沢へ移動。30kg近い荷物がこたえる。(三好さんの体力にはびっくりした。)

8月14日、予定では、三ノ窓ヘベースを上げる積りであったが、三ノ窓にはすでにテントが5張あるという情報を得て、真砂をベースに六峰、チンネを登ることにする。(本当は、重荷を背負って三ノ窓へ行くのがつらかったのだが)この日は、六峰を登るつもりが、何をまちがえたのか三峰の前の大岩を熊の岩とかん違いして、三峰周辺をうろうろしているうちに時間が過ぎてしまい、気が付いた時は、10時を回っていた。
これから、六峰に登るのは、順番待ちもあるだろうし、今回は、三峰の前にギアをデポして本峰を往復しようと決め、長次郎を登りだす。ところが、六峰は、ガラガラですぐにも取り付けそうで、自分の判断のまずさにガックリしする。
しょうがないので、そのまま長次郎を詰めて本峰へ向かう。本峰からは、後立山がはっきり見え、すばらしい展望を楽しめた。

8月15日、六峰へ向かう。(チンネは日程上の都合で断念)
今日は、尾原、三好でDフェース久留米大、長谷川、本郷でDフェース富山大を目指す。
Dフェースは、昨日とは、うってかわって大渋滞で、一ピッチごとに順番待ちさせられる。(しかも落石が多い)
久留米大パーティーは、我々よりずいぶん早く抜けることができたようで、AフェースとCフェースを登るようだ。我々は、Dフェースの頭で、展望を楽しんだ後、一足先に真砂沢へ帰る。

8月16日、今日で長かった合宿も終了である。
本郷は、富山の実家へ帰るため一人で室堂へ向かう。他の3人は、黒部ダムヘ向かう。無事に下山することを誓い合って真砂沢で別れる。
今回は、丸山東壁、六峰フェース、チンネと継続する計画だったが、チンネを登れなかったのが非常に残念である。
未熟ながら、私が合宿のリーダーということで、他の3人に迷惑をかけたことと思う。尾原氏、長谷川氏、三好嬢の3人の協力で夏合宿も大きな成果を得ることができた。3人には感謝の気持ちでいっぱいである。
今夏、登れなかったチンネは、5月の春合宿で、八ッ峰からチンネという形で登りたいと思う。

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