コップ状岩璧正面璧(緑ルート〉

1991/7/6
メンバー:高岡・鈴木(直)  鈴木(直) 記


当初、桜井氏と谷川へ入る約束をしていた鈴木は、出発の前々日に桜井氏にふられてしまい、やむなく、行けなくなった旨を三好女史に連絡すると、実は三好女史も一緒に雲一を登ろうと誓いあった高岡をふるという。そこで、ふられた者同士、高岡、鈴木で急遽、コップを目指すことにする。
関越自動車道のバケツをひっくり返したような豪雨に、こりや翌日もだめかと思われたが、見事に晴れた。
雲一に取り付く尾原、本郷隊を見送って、いつもながら重役出動のわれわれは、7時に出会いを出発し、衝立前沢をつめる(但し、衝立前沢に入るところはシュルンドがぱっくり開き、右から苦労して回り込む)。
ついてない高岡は、仕事の疲れか、なんでもないこの沢でずっこけて眼鏡のレンズを割ってしまう。
さて、略奪点を過ぎ、コップスラブを進むが、ハングはもうそこに見えているくせになかなか遠い。ルンゼ状にルートを取ったものの濡れていて悪く、1ケ所ザイルを出す。
取り付きは9時15分。雲表ルートを行くつもりであったが、ハングの上から水がじゃばじゃばと降ってきているのを眺めてげんなりし、とちらかといえばマシな緑ルートに変更。
フィフィを忘れたという高岡の言葉に、まずは鈴木がリード。最初のフリー10m近くが全くピンがなく、水が降ってくるのを耐えながら、こんなところで死にたくないし・・・と泣きたい気持ちで登る。
テラスにたとり着き、右にトラバースして人工になる。
ピンの数はそろっているようだ。但し、ハーケンがほとんとで、開拓当時のものであろうか、赤茶色に錆びており、抜けなくともボッキリおれそうで不気味。また、それにぶらさがっている古いシュリンゲを利用せざるをえないのも不気味である。
ハングを越して、テラスまであと一歩のフリーというところで、ザイルが全く流れなくなる。満身のカを込めてザイルを引き上げ、はい上がる。こういうハングでは、短めにピッチを切るか、もっと長いシュリンゲを用意しなければと反省。
鈴木が1時間半もかけ、苦労したところを高岡は30分で登ってくる。
次のピッチは高岡リード。フリーであるが濡れていて悪い。ピンも少ない。鈴木は、最後の核心部をためらいなくA Oで片付けた。
これで、核心は終了。
あまり登られていないルートと聞いているので、ここからの草付きが悪いかも、と心配していたが、ルートは明瞭でグレードに比べるとピンも多数ある。
大カールからは出会いが小さく見える等、景観はすばらしく、ルンルン気分で登れる。
3級の草付きを2ピッチ。その上の顕著なルンゼ (一部チムニー)2級を3ピッチで烏帽子岩の上の稜線に上がる。時刻は14:00。
1ピッチ目のもたつきで5時間程かかってしまった。
時間もあるし、天気はよし、ということで、国境稜線を抜けることとする。誰もいない尾根道を登るのもなかなかおつなもの。と、
2人して堪能しながら登る。
ただ、稜線に抜けてから谷川岳まで、また、更に西黒尾根と厳剛新道を下る道の長いこと。出会いに着いたのは18:00ちょうどであった。

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