屏風岩東壁雲稜ルート

1991/5/4
メンバー:本郷・西川  本郷 記


5月4日、屏風は雪も多く、雲稜はフリーが多く入るので無理と思っていたが、先行の蒼氷パーティーが登るのを見て、まあ何とかなるだろうということで取付くことになる。
今回のパートナーは、経験豊富な新入会員の西川嬢である。
10時30分に1ピッチ目、西川リードでスタート。1ピッチ目は、クラックにベルグラが張り付き、ホールドもよいものが得られず、所々アブミを使いながらの苦しいピッチであった。
2ピッチ目の終了点まで一気にザイルを伸ばし、安定したテラスヘ。2ピッチ目の扇岩までは、本郷リード。出だしが、5+ということだが、このピッチは、雪がまったくなく、フリクションが良く効き、それ程、難しいことは感じなかった。ここで先行のセカンドに追い付いてしまったため、扇岩横のテラスでビレー。
西川さんが登っていいる間に扇岩テラスが空いたのでそのまま上がってもらう。
続く、3ピッチ目の人工を本郷リード。ボルトの近い簡単なA1であった。だが、ほとんどボルトの頭がとんでおり、タイオフの8ミリシュリンゲが残置されているので、重量クライマーの私にとっては、気持ちのいいピッチではなかった。
4ピッチ目のルンゼヘのトラバースは、西川リード。出だしで、西川さんのつかんだフレークがこわれ、あやうく落ちかける。その後は、頭を押えつけられた感じの苦しい体勢のトラバース。
5ピッチ目、本郷リード。ルンゼの中は、たっぶり雪が付いており、苦しい雪壁登りとなる。ここでしばらく順番待ちとなる。
6ピッチ目、ベルグラが張ってつるつるの壁を西川リード。夏には、快適なフリーが楽しめるところだと思うが、とにかく悪い。
7ピッチ目の最終ピッチを本郷リード。先行パーティーは、右へ行ってしまったため、ピンを掘り出しながら登る。なんとかだましだまし登って、終了点のシュリンゲをつかみ、ホッとする。西川さんに登ってもらい、3時に終了。
一服してすぐ下降に入る。
一ピッチ下降した所で、蒼稜を登って来た尾原氏の声が聞こえた。彼らは最終ピッチを登っている所だという。
我々は、下降を続け、大テラスに到着。ここで蒼氷の田中幹也氏と会い、お茶をごちそうになった。非常にさむかったので、ものすごくうまかった。ついでに、ザイルの回収まで手伝ってくれて、そのザイルさばきの速さにさすがプロは違うと感心させられた。お礼を言って、さらに下降し、2ピッチでT4到着。
尾原さん達も下降しているようなので、そのままビバーク地へ帰る。5時であった。満足感と充実感でいっぱいである。
今回の雪の中の雲稜ルートは、私にとって忘れることのできないルートとなるであろう。

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