赤石沢Aフランケ赤蜘蛛ルート

1991/6/8~10
メンバー:本郷・長谷川  本郷 記


6月8日から10日にかけて、甲斐駒に出かけた。目指す所は、赤石沢Aフランケ。
8h日に、竹宇駒ヶ岳神社より黒戸尾根を登る。
竹宇駒ヶ岳神社で参拝する。(長谷川さんは1円だったが私はしっかり100円入れた。)ひたすら長い登りで、南アルプスの奥深さを感じる。
「岩登りばかりじゃなくてたまには、こういうのもいいね。」などと話しながら登る。3時頃、8合目の岩小屋に到着。それから赤石沢奥壁へ水をくみに行く。奥壁は、思ったほどブッシュもなくすっきりした感じの岩場である。傾斜があって、けっこう手ごわそうだ。
岩小屋へ帰って、少しブランデーを飲んで明日のためにすぐ寝る。
9日、4時に起床。5時30分に、Aフランケ目指して出発する。歩きはじめは、明瞭な踏み跡があったのだが、シーズン前のためか途中か踏み跡が消える。
八丈沢をひたすら下れば、Aフランケには着くだろうと思い、先を急ぐ。途中、何本かロープがフィックスしてあり、それを利用しながら降りる。右側に踏み跡を見つけたので、地形的にも、Aフランケへのバンドであろうと思い、そちらの方へ向かう。しかし、踏み跡を降りて行くと、Aフランケ基部の岩小屋へ着いてしまった。とうやら降りすぎてしまったようだ。
基部からは、下部スラブに、フィックスロープが張ってあるが、古く今にも切れそうである。しかも、濡れていて落ちたらヤバそうだ。どこか、登れそうな所を捜すと右上に、草付きのバンドが見えたので、そちらの方へ行ってみるが恐ろしくて登れそうもない。
もう少し、登ってみると何とか登れそうなバンド状の岩場かあり、そこを登って行く。しばらく行くとフイックスロープがありそれを利用しながら、ようやくAフランケ取り付きに到着。着いた時には、もうへトへトで、疲れきってしまった。取り付きからは、恐竜カンテは見えないが、Ⅴ字ハングは、よく見える。
1ピッチ目、本郷リード。
傾斜のある垂壁をA1で、25m直上すると大きなテラスに出る。ピンも安定していてやさしいA1である。
2ピッチ目、長谷川リード。
日本離れした堅くて気持ちのよいジェードルである。フットジャム、ハンドジャムが、バッチリ決まり安定した姿勢で登れる。
3ピッチ目、本郷リード。
ジェードルを登り、左上するボルトラダーをA1でⅤ字ハング下まで。
4ピッチ目、長谷川リード。
Ⅴ字ハングは、右へ回り込もようにして越える。ボルトが多すぎて、やさしいピッチとなっている。昔は、もっと難しかったのだろうが、新しいボルトがたくさんあってグレードが下がっているのだろう。このヒッチは、45mなので、ハング上でいったんピッチを切る。(実際は、45mもなく、大テラスまで届くようだ。)
大テラスまで、本郷リード。
かぶりぎみのフェースをフリーで右上する。大テラスは、10人位ビバークできそうだ。ここで一服しながら、眺めを楽しむ。
5ピッチ目、本郷リード。
広い凹角の中のかぶったフェースを乗っ越し、カンテに出た所で恐竜カンテ目指して右上する。恐竜カンテは、きれいな垂壁で思わずため息が出てしまう。クロスラインとスーパークラックのルートがあり、いつかはここも登ってみたいと思う。
6ピッチ目、長谷川リード。
出だしは、ボルト、途中からリスに沿ってのピンのA1で恐竜カンテを直上する迫力あるピッチだ。リスの中に、アルミサッシが埋め込まれており思わず笑ってしまった。ボルト、ピン共に安定しておりやさしいA1である。尚、このピッチのみアブミビレーとなる。
7ピッチ目、本郷リード。
恐竜カンテをさらに登り、右から回り込んでカンテを抜ける。このカンテを回り込む所が、一番高度感が出ておもしろかった。ボルトラダーを直上し、最後はフリーで赤蜘蛛テラスまで。ここは、非常に展望のきくテラスだ。
最終ピッチ、長谷川リード。
階段状を登って、最後に出てくるフェースを、ボルトラダーのA1で登り終了。この後、木登り2ピッチで、Aフランケの頭へ出る。長谷川さんと掘手をかわして、完登を喜び合う。
岩小屋へ帰り、明白はどうせ雨ということで、奥壁はパスして、七合目の小屋へ行く。その夜は、おいしいブランデーを飲み、暖かい夜を過ごせた。
今回は、Aフランケから奥壁への継続の予定であったが、梅雨の晴れ間を利用して、Aフランケだけでも登れてラッキーであったと思う。Aフランケは、ダイヤモンドフランケという素晴しい名前どうりの岩場であった。登っている間は、まるで夢の中で登っているような錯覚さえおぼえた。(これは、本当です。)

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