北鎌尾根

1988/11/3-6
桜井・鈴木(光)


11/3 5:15七倉から歩く。車道の両側積雪4cm。天気、小雪がちらつく。高瀬ダム湖は雪のついた山に囲われその上は11月3日の曇天に支配されている。濃緑の湖面は感動的だ。10:15湯俣、小屋は閉鎖中。これより水俣川左岸をたどるが難路だ。かつては一般コースだったのだろうが今は固定ロープが落ち橋は崩壊している。重荷とビブラムでザラ場のトラバースに泣く。15:30大幅なタイムロスでテントとする。
11/4寝坊して7:45出発。すぐに干天出会い。本日は快晴、積雪40cm。渡渉で、ラッセルで遅れ14:30北鎌沢出会い。ペンキ印あり。北鎌沢をさかのぼる。16:00鈴木はバテを理由に退却を主張。桜井は不服ながら折れた。17:00天上沢でテント。今日も疲れた。
11/5夜半テントがサラサラとやさしい音をたてる。雪か?4:00起床。降雪中だ。北鎌はパスして水俣乗越経由で槍沢に出ようと昨日決めてあるが大丈夫だろうか?稜線も乗越も雪とガスで確認出来ない。
6:00、勇将と劣兵は出発。新雪の下はゴーロなので難儀する。カンで乗越をめざすが右に寄り過ぎたと感じ左にトラバース修正、潅木と薮を分けて雪の中を泳ぐが、本当に修正して良かったのだろうか?などと凝ったりしていると、徒労感もひとしおだ。水俣乗越が荒天の彼方に視認できるまで詰めた。
コルのまばらな潅木もモノトーンだが確認出来る。沢の傾斜が強まりラッセルの高さが胸にせまる。新雪雪崩が恐いので左の潅木リッジへ這い上がるのだが軟雪の下がガレでこれがヤバい。ついに鈴木はロープの世話になってしまった。リッジが消えると乗越もあと20m、看板さえぼおっとみえる。ここで雪のルンゼを右斜上する。もう稜線直下なので、風がハンパでない。
手袋の指先は氷が半球状に固まってピッケルにくっつく。背中が風でめくれる。ブッシュに掴まった鈴木の足もとの雪が2Ocmのあつさでおちた。新雪が落ちたのだ。(ア、ワワワワ)持ち堪えたが半ベソだ。「S君、無理だよ。雪崩るよ。」「何とかここまで来られませんか!」ワーワー言っている内に今度は上の方から小雪崩があってヘソのあたりにインパクト。「もお、本当に泣いちゃうからね!」
15:30、9時間半の努力で、風雪の北鎌ならぬ水俣乗越に立った。槍沢に向かって下る。
17:00。テント。今日も疲れた。
11/6 快晴。槍がすばらしい。まぶしい雪と大小の動物がつけた、夥しい足跡を追って懸命のラッセル。ウーン、これが槍沢だ、と言う感じ。15:OO上高地、お疲れさん。

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